前立腺について
PROSTATE
前立腺とはWhat is Prostate?
前立腺は、男性だけにある臓器で、膀胱の下に位置し、尿道のはじまりの部分を取り囲むクルミくらいの大きさをしています。
前立腺では精液の一部である前立腺液がつくられています。
前立腺肥大症
- 前立腺肥大症とは
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前立腺の肥大は、50歳を過ぎる頃から多くの男性で見られるようになり、加齢とともに肥大している男性の割合も高くなります。
しかし前立腺が大きくなっただけでは病気とはいえません。前立腺が肥大した結果、膀胱や尿道が圧迫されて生じる排尿障害などの さまざまな症状を前立腺肥大症と呼ぶのです。
- 前立腺肥大症の原因と症状
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前立腺が肥大する原因はまだ解明されていませんが、加齢と男性ホルモンが関係しているといわれています。
前立腺肥大症になると尿が出にくい、出るまでに時間がかかる、昼間の頻尿や夜間の頻尿がある、排尿後に残尿感や尿漏れがある、 などさまざまな尿トラブルが起こります。
- 前立腺肥大症を放置するとどうなる?
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前立腺肥大症になるとトイレが気になって外出が億劫になったり引きこもりがちになるなど、日常生活にも支障が出てきます。
さらに肥大が進むと尿が出なくなるなど症状が悪化したり、尿路感染、腎機能低下といった合併症が引き起こされる場合もあります。
- ■ 前立腺肥大症の検査方法
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問診で既往症や症状についてうかがい、尿検査、残尿測定検査、直腸診、超音波検査、尿流量測定検査、血液検査などを行って診断します。
- ■ 前立腺肥大症の治療法
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薬物療法が中心となります。ほとんどの場合、α遮断薬や抗男性ホルモン剤、そのほか漢方薬・植物製剤を症状に合わせて服用することで改善します。
症状が進み、薬物療法では効果が得られなくなった場合は、前立腺の肥大した部分を切除する外科的療法を行います。
当院では内視鏡を使った経尿道的前立腺手術を行っています。
前立腺がん
- 前立腺がんとは
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前立腺にできる男性特有のがん(悪性腫瘍)です。前立腺肥大症と同じように50歳代から急速に増えて、男性のがんでは胃がん、 肺がんに次いで3番目に患者数の多いがんになっています。
※国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より
- 前立腺肥大症との違い
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どちらも前立腺の病気ですが、前立腺肥大症が前立腺の内側の尿道に近い部分で発生するのに対し、前立腺がんは尿道から離れた周辺部に生じるため、 初期にはほとんど自覚症状がなく、排尿障害などの症状があらわれたときにはかなり進行していることが多くなります。
さらに前立腺がんは進行すると骨やリンパ節などに転移しやすいことが大きな違いです。
- ■ 前立腺前立腺がんの検査方法
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前立腺がんの診断には、PSA検査、直腸診、超音波検査による精密検査を行います。
その結果、前立腺がんが疑われる場合には、前立腺生検(前立腺組織を採取してがんの有無を調べる検査)による確定診断を行います。
がんが確定した場合には、さらにCTやMRI、骨シンチグラフィなどの検査を行い、がんの進行度(病期)を調べます。
※ PSA検査とは
血液を採取して、血液中のPSA(前立腺特異抗原)の濃度を調べます。
PSAは前立腺から分泌されるタンパク質で、前立腺がんになると血液中のPSA値が上がるので、前立腺がんの腫瘍マーカーとして広く用いられています。
PSAの基準値は、一般的に4ng/mL以下とされています。ただしPSA値は前立腺肥大症や前立腺炎でも高くなることがあるので、
がんの診断を行うには、ほかの検査の結果と合わせて総合的に判断することが重要です。
- ■ 前立腺がんの治療法
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前立腺がんの治療法には、ホルモン療法、放射線療法、手術療法、抗がん剤による化学療法があります。
また早期の場合は、PSA値の推移を見守りながら経過観察を行う無治療監視療法を行う場合もあります。治療にあたってはがんの進行度や悪性度、また患者さんの年齢や病歴などを総合的に判断して、治療方針を立てることが大切になります。
当院ではPSA検査や超音波検査、前立腺生検などの精密検査を行い、前立腺がんと診断された患者さんには、ご希望に応じて高度のがん治療が 受けられるがん専門病院や総合病院をご紹介しています。